| under cover of night |
コンコン、とノックされた音に、コンラッドは閉じていた瞼を持ち上げた。 ソファに横たえていた体を起こし、床に足を下ろすとゆっくり立ち上がる。 「鍵は開いてますよ?」 扉の向こうにいる存在にそう声を掛けるも、相手は一向に入ってこようとしない。 首を傾げて、コンラッドは扉に手を掛けると僅かに引き開け、ひょこっと廊下を覗き見た。 眼下には、夜闇にも負けぬ漆黒のそれ。 髪と瞳に同じ色を宿した少年は、しかし俯いたまま顔を上げようとしない。 「ユーリ?どうかしたの・・・?」 「・・・・・・」 声を掛けても黙ったまま。 どうしたものかと思案気に眉を寄せれば、突然ぎゅっと抱きつかれた。 「・・・ユーリ?」 「夜這い」 「え?」 「だから夜這いっ。せーっかく!3ヶ月ぶりにこっちにきたのに、あんたときたら早々に部屋に戻っちゃうし、誘いの言葉もないし!だからおれから来たの!!」 漸く上げてくれた顔は仄かに紅く、まろい頬はぷっくりと膨らんでいた。 そんな可愛い表情にコンラッドは頬を弛め、そっと啄ばむように口付けると室内へと迎え入れる。 「どうぞ。寒くありませんでしたか?」 「ん、へーき。でもやっぱり部屋の中の方が暖かいな。」 暖炉の前へ行って両手を翳すユーリに嘆息し、棚からカップを一つ取り出すと魔動ポットから湯を注ぎ入れてそれに砂糖を加える。 「ユーリ」 「んー?」 「はい、これを飲んで。」 ユーリの手を取り、カップの取っ手を握らせる。 何?と訴えてくる瞳に目を細めて微笑むと、ユーリが座る隣にコンラッドも腰を下ろした。 「砂糖湯です。体が温まりますよ。」 「ありがと。」 にこっと微笑んだユーリはそのままカップに口をつける。 恐る恐る啜り、一口嚥下するとホッと息を吐いた。 「あったかーい・・・」 「良かった。少しは暖まってきたかな。」 ユーリの肩に腕を回し、引き寄せて頬に己の頬を摺り寄せれば、少しばかり高い体温が伝わってくる。 こくこくと飲み干して行く姿を見つめて、全て飲み終わったカップを受け取ると近くにあったテーブルにコトリと置き、ユーリの体を包み込むように抱きしめた。 「ベッド、行く?」 「ん・・・、って、これじゃいつも通りじゃんっ」 夜這いに来たはずなのにー、と再び頬をぷっくり。 コンラッドはくすくすと声を立てて笑うと、「じゃあ」と言ってユーリの体から手を離した。 それから手を大きく広げ、ちょんと小首を傾げて。 「俺をベッドまで運んでくれますか?」 「むぅ・・・」 ユーリは暫しコンラッドを見つめ、それからがっくりと項垂れた。 「おれにはあんたを運ぶ腕力ないよ・・・。だから」 広げられた腕の両方を掴み、立ち上がるように促す。 そうしてにこっと笑うと、寝室の方へと導いた。 扉を開けて、部屋の窓辺に置かれたベッドに近寄ると導いた人を座らせる。 目線の低くなったコンラッドの肩に手を置き、少しずつ体重を掛けてゆっくりとシーツの波間に押し倒した。 指先でそっと肉厚の薄い唇をなぞる。 体を倒して覆い被さり、その薄い唇に己の唇を押し当てる。 「・・・ン、」 「もっと深く・・・ユーリ」 後頭部にコンラッドの大きな掌が宛がわれた。 強請るようにコンラッドの舌がユーリの唇をノックする。 「ふ・・・、んっ」 薄く開いた隙間から彼の舌が滑り込んできた。 それに応えるように舌を絡め、自ら強く吸い付く。 「っ、・・・上手くなったね」 「お陰さまで。」 つ・・・と銀糸が二人の間を繋ぐ。 後頭部に宛がわれた手が、頬に滑り顎を辿って・・・首を通り過ぎ胸へと辿り着く。 薄いパジャマの下には、見えずとも解る尖った胸飾り。 「っあ・・・」 「脱がせて。」 あなたがしてくれるのでしょう? 言外に目で問えば、目元を朱に染めつつユーリがこくりと頷いた。 シャツの釦に指を掛け、ぷつん・・・と一つ、また一つとはずして行く。 「ッ、」 現れた傷だらけの体にこくりと喉を鳴らし、壊れ物に触れるかのごとくそぅっと掌を這わせた。 再度唇に口付けて、ユーリは額、鼻梁、頬に同じくキスをし、喉を辿って鎖骨をチロリと舐める。 それから胸元へと降りてくると、そこにある小さな蕾を口に含んだ。 「・・・っ」 ピクン、とコンラッドの体が震えた。 上目遣いに見遣れば、目を眇めて息を詰める表情とかち合った。 それに気を良くしたユーリは、更にもう片方もぺろっと舐めて、ちゅくちゅく、と吸い上げる。 「ユー、リ・・・」 「ん、・・・ひぁっ」 突然己の胸元に手が伸び、尖ったそれをきゅっと抓まれてユーリは身を震わせた。 同時に口を離してしまい、漏れる嬌声を飲み込もうと己の口に拳を押し当てる。 「だ、・・・だめっ、コ・・・ンラッド・・・っ」 「やっぱりされるがままは性に合わないね。あなたのここも我慢の限界でしょう?・・・おいで、気持ちよくしてあげるから」 「んや・・・ひっ、ん・・・!」 胸を弄くっていない方の手がユーリの下肢へと伸び、既に勢いを主張している欲心に纏わり付く。 ズボンの上からやわやわと握られ、もどかしさにユーリは知らず腰を押し付けた。 「どうして欲しい?」 「はっぁ・・・さ、わって・・・、ちゃ、んと・・・っ」 囁くような吐息混じりの声にコンラッドの目が細められ。 そうしてズボンの裾から中へと侵入し、腰で結ばれた紐を片方解くと直にユーリの欲心を握りこむ。 「んぁ・・・っ」 「っと。・・・ユーリ」 「ぁ・・・」 ころんと体勢を入れ替え、ユーリがシーツの波の中へと沈んだ。 ちゅっと額にキスを一つ。 それから左胸の上に移動し、今度はきつく吸われる。 ちくん、と痛みが走り、その後には色濃く残る紅い印。 満足気な笑みを浮かべると、コンラッドは再び印の隣に存在する飾りに舌を這わせた。 「ぁっ・・・ん、ふぅ・・・っ」 「あぁ、こんなに涙を流して・・・。一度イったほうがいいね。」 言ってコンラッドは手の中にあるものをぱくんと口に含む。 暖かく柔らかな粘膜に包まれ、それだけでユーリの欲心はどくりと脈打った。 「我慢しないで。イきたいときはイっていいよ、ユーリ。」 「んっ・・・ぁ、く・・・っ」 幹を扱き、括れを尖らせた舌先で擦り、亀頭は口の中にすっぽりと覆ってきつく吸う。 チロチロと先端にある穴を擽れば、短い悲鳴を上げてユーリが一回目の吐精を果たした。 「ひあぁっ」 「・・・ちょっと苦いかな。もしかしてしてないの?」 「だ・・・って、一人で、するの・・・ヤダ・・・」 「悪いことじゃない。寧ろしなければならないものです。何度かは一人でもしたんでしょう?」 「・・・・・・」 忙しない呼吸を繰り返すユーリに問いかけるが、しかし彼は黙ったまま視線を外した。 その反応に目を見開き、再び問いを重ねた。 「もしかして・・・してないの?」 「・・・・・・・・・・・・ぅん」 「3ヶ月も?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そう」 驚きを隠せないというように驚愕に固まったコンラッドは、それからふっと口の端を持ち上げて。 「一人じゃ出来なかった?」 「出来るよっ・・・でも、虚しいじゃんか・・・」 しゅん、と眉尻を下げるユーリに自然頬が緩むのが解った。 コンラッドはそんな愛しい恋人の頬に頬を摺り寄せ、参ったな、と呟く。 「あなたと言う人は・・・可愛いことを言ってくださる。」 「何だよー・・・」 「だったら、いっぱい愛してあげないとね。今まで離れていた分たくさん・・・たくさん感じ合おう。離れていた時間を取り戻すために。」 こつんと額をくっつけて、コンラッドがにこりと微笑む。 ユーリもほわりと笑みを浮かべると小さく頷き返した。 「は、んんっ・・・コン・・・、コ、ンラッドぉ・・・っ」 「っ、ユー・・・リ、力を抜いて・・・」 長い時間拓かれることのなかったそこは、コンラッドのものに絡みつくと同時に締め付けるほどのきつさで。 コンラッドは荒く息をつき、力を抜かせるべくユーリの欲心を扱く。 少し強めに先端を擦ると、ユーリの体に入っていた余分な力がふ・・・と抜けた。 その隙を付いて一気に腰を突き入れる。 「あァ・・・っ!」 「・・・入ったの、解る?」 目元を濡らす雫を親指の腹で拭い、延長上に頬を撫でる。 フルフルと睫が震え、閉じていた瞼が微かに持ち上げられた。 「・・・んっ、わか・・・る。コン、ラッド・・・の・・・っ、んぁ!」 不意にユーリがきゅっと締め付けてしまい、反応したコンラッドの欲心がどくんと脈打って大きくなった。 「は、・・・ぁんっ・・・も、いいから・・・っ、・・・ごいてぇ・・・っ」 「大丈夫?」 「ん、だ、じょーぶ・・・っは、早く・・・っ」 「っ・・・」 強請るように内部を蠢かせれば、コンラッドの整った柳眉が寄せられる。 快感に歪んだ表情にユーリは笑みを浮かべ、腕を持ち上げてコンラッドの頬を挟むと引き寄せた。 ちゅく、ちゅ、くち。 下肢の音と相成って舌を絡める音も激しさを増す。 どちらのものともつかない透明な雫が互いの口から溢れてユーリの顎を伝い、シーツに模様を残して。 「んぅ、ふ・・・ぁっ、やぁっ・・・」 「ユーリ・・・」 しとどに濡れたユーリの欲心がコンラッドの腹に擦れて汚していく。 それを更に掌で包み、追い込むように擦り上げる。 「ぁ、あっひぅ・・・っ」 手の中のものがビクビクッと強く痙攣した。 同時にユーリの体も数回跳ねる。 「あっも、コ・・・コンラッド・・・っ!」 「いいよ、一緒に行こう・・・?」 グチッと粘膜の音が響き、ギリギリまで引き抜いて。 ズ・・・と勢いよく突き上げのると一緒にぐりっと亀頭の先端を抉った。 「ひっ、んあぁぁ――っ!」 「くっ・・・」 ぴゅく、と掌にユーリの欲望が。 達した際の締め付けに、ユーリの内部へコンラッドの欲望が吐き出される。 搾り取るように扱いて、くたりと力が抜けたのを確認するとそっとユーリの欲心から手を離した。 そうして自身をユーリの中からゆっくり引き抜くと、後を追うようにヒクヒクと内部が蠢き、抜けきった後には残滓がとろりと溢れ出す。 「疲れた?」 「ん・・・ちょっと、ね」 「ごめん、無理させてしまったね。今日はもうこのまま眠ってしまおうか。」 黒髪に指を差し入れ、優しく梳くとほわりと笑みを浮かべるユーリ。 清潔なタオルを濡らしてユーリの体と己の体を清めると、既に半分夢の世界に旅立ちつつある恋人の隣に身を横たえてその小さな体を抱き寄せる。 「おやすみ、ユーリ。・・・良い夢を」 「・・・やすみ、こ・・・らっどぉ・・・」 舌足らずな返事に笑みを深め、コンラッドは何度目とも付かない口付けをユーリの額に落とした。 |