遠い約束 -帰還した温もり-



 もぞもぞ。
 もぞもぞ、するり。

「っ・・・」
 服の中を這いずるものに、ユーリはヒクンッと体を仰け反らした。
 その期を狙ったように這いずっていた手が胸元にある突起物に絡みついた。
「ぁ・・・んっ」
「肩、大丈夫?」
「へー・・・き」
 気遣われる様子にくすぐったいような暖かさを感じて、ユーリは自然と笑みを浮かべた。
 背後から蠢いていたコンラッドの手が、一旦後退する。
 そうして体を起こすと、ユーリの体も抱き起こして己の膝の上へと導いた。
「は、ぁっ・・・コンっ・・・?」
「通常の体位じゃ、肩の傷に触りますからね。俺の上に乗って、首に腕を回して体を支えてください」
「ん、・・・・ひっぁ、ダメ・・・ッ!」
「ユーリ?」
 胸の突起を弄くりながら耳朶を舐めてやると、それだけで限界を迎えそうな嬌声を上げたユーリにコンラッドは首を傾げた。
 まだ、彼の欲心にさえ触れていないのに。
 そう思って、わざとらしくダイレクトにその部分を服の上から撫上げる。
「ひあぁぁっっ!」
「おや」
 ビクビクンッ!と強く体を震わせ、ユーリはあっさりと最初の欲望を吐き出した。
 パジャマのズボンが次第に濡れていく感覚に、コンラッドは苦笑を零してユーリの体を強く抱きしめた。
 弛緩した体は力を失い、己の力だけでは支えられないのだ。
「もしかして・・・してないの?」
「・・・・あ、たり前・・・だろっ」
「でも、一人でも出来たでしょう?別に悪いことじゃない」
「ヤダ・・・・・・一人で、ヤっても・・・虚しいじゃん、か・・・」
 途切れ途切れの息遣いの合間に、ユーリはそう漏らす。
 そうして漸く息が整ったのか、ユーリはそろりとコンラッドを見上げると左腕を持ち上げてコンラッドの首に絡めると引き寄せる。
「ん・・・・・・っは、ぅんっ」
「・・・随分と積極的だね。もしかして我慢してた?」
「もう大分、してないし・・・。あっちのコンラッドにも迫られたりしたけど、やっぱり嫌だったんだ・・・」
 そう言えば、確かに迫った記憶も、その場面を見た記憶もある。
 コンラッドは暫く唖然とユーリを見下ろしていたが、すぐにその表情を崩した。
 そのままユーリの下肢から吐精したもので濡れたズボンを脱がし、緩く勃ち上がり始めていたそれに指を絡める。
「んんっあ・・・!そ、んな・・・早いっ・・・」
「早いのはあなたの方ですよ。出したばかりだと言うのに、もうこんなにして」
 一撫でしてやると、すぐにそれは硬度を増した。
 同時に、自分の下肢も熱を増長させたのを感じる。
「ごめん・・・、俺も、もう我慢できそうに無いです・・・」
「んぁっ!」
 前を擦り上げながら、後ろの蕾にもユーリの体液を伸ばして塗り込む。
 すると、数回ユーリの背が跳ねた。
「気持ちイイ?」
「ぅ、ん・・・っコン、ラ・・・ッド・・・!」
 蕾の中に一本潜り込ませた指を、まるで離さないと言うようにユーリの内部は絡みついてきた。
 それに艶やかな笑みを浮かべ。
「少し腰を上げて・・・」
 応えるように肩にかかっていた手に力が込められ、僅かに腰が持ち上げられる。
 同時に指を引き抜き、素早く己の前を寛げると十分に硬度を持った欲心を引き出し、ユーリの蕾へ宛がう。
「は・・・、ぁんっ」
「そのまま腰を下ろして、力を抜いて」
「んっ・・・あ、ぁあっ――!」
「っ・・・」
 ぐちゅっ、と卑猥な音を響かせて。
 ユーリの嬌声が吐き出された瞬間コンラッドの欲心は一気にユーリの内部へと呑み込まれた。
 暫くユーリの呼吸が整うのを待ち、その間髪や額、瞼や頬に口付けを落とし宥める。
「・・・い、いよ。うご・・・いて・・・」
「分かった。ちゃんと掴まってて?きっと、抑えられない・・・」
「ん、あっ。ふぁっんん!」
 くちゅ、ぐちゃっ。
 水音が耳を犯し、それに下肢が反応してコンラッドのものをきつく、緩く締め付ける。
 だんだんにピッチが早くなってきたことで、コンラッド自身も限界が近いことを知らせてきた。
「コ・・・ンっ、コン、ラッドぉ・・・っ」
「ユーリっ・・・」
「あ、あっ、あぁぁ――っ!」
「くぅっ・・・」
 一際強く、奥まで突き上げられ、すでに赤く腫れあがっていたユーリの欲心はすぐに欲望を吐き出した。
 イった時の締め付けで、続くようにコンラッドもユーリの熱い内部へと白濁色の液体を打ち込む。


「ぁ・・・」
「・・・っと。」
 カクン、と崩れた体を支え、傷に触らないようそっとシーツの上に横たえる。
 意識を手放したユーリは、穏やかな寝息を響かせていた。
 体力的にも精神的にも疲れ果てていたのだから当たり前だ。
「・・・今はぐっすり休んで、また明日からずっと一緒だよ」
 すーすーと気持ちよさそうな寝息にくすりと微笑みを浮かべ。
 そっと頬を撫でると触れるだけのキスを唇に送る。
「おかえり、ユーリ」
 最愛の人。
 もう二度と離さないというように、コンラッドは深くユーリを懐へと抱き包み。
 彼の匂いに包まれて、コンラッドは瞼を下ろした。