アテンション・プリーズ!
 これは新刊「宝はマのつく土の中!」を読んだ後の勝手な自己妄想です。
 捏造です!!
 なので、これを読んで「有り得ない、絶対違う、嘘つくな!」とか言われても困ります・・・(汗)
 一応コンユ前提。でもなにげにヨザコンみたいなヨザユみたいな・・・でもコンユです!!
 受け付けない、という方は見ないほうがいいですよー。
 あと新刊読んでない人もネタばれになるので読んじゃダメですっっ!
 新刊を読んで、なおかつ許容範囲内のかたのみ、どうぞ下へw














「・・・どちらをお望みですか」
 ひゅっ・・・と、呼吸が詰まった。
 その瞳は何の感情も読み取れない。
 しかし、それとは裏腹なほど、彼の声は掠れていた。
「陛下はどちらがお望みなんですか」


 そんなの、決まってるじゃないか・・・。



                                                                求めるモノ


「そこ、気をつけて。足場が悪くなってる」
「っ・・・」
 言われた直後にユーリは躓いた。
 サラレギーに支えてもらったおかげで転ばずに済んだが、そうでなければ顔面から地面と仲良くするところだった。
 のろのろとした動きで体勢を立て直し再び歩き出す。

 あれからどのくらいの時間が経ったのだろう。

 すでに今が何日で、昼か夜か、どの辺りまで進んだのかまったくわからない。
「ほら、また光だ。天井の穴がだいぶはっきり見えてきたから、地上までもうすぐかもしれないよ。」
 言われて天井に視線を向けても、光は解れど物の形を捉えることは出来ない。
 サラレギーの高揚した様子は相変わらずで、一人で楽しそうに話をしていた。
 そしてユーリは、それに反してまったく言葉を発しない。
 ただ黙々と足を動かし、人形のように無表情のまま歩いていた。

 感情なんてものは、当に失くしてしまったのかもしれない。

 空腹感も睡眠欲もない。
 サラレギーが眠っている間、ユーリはただじっと暗闇を見つめ続けている。
 不思議とヘイゼルが言っていた様な、闇への恐怖は皆無だった。
 感情が欠落しているのだから、感じなくて当たり前なのかもしれない。
「・・・・」
 頬にこびり付いたままの"ソレ"に指を這わせる。
 ズボンや上着の裾にも、赤褐色の"ソレ"が染み込んでいた。
 涙はもう、流れてこない。
 ぽっかりと空いた心の空洞は、この先一生埋まることはないのだろう。

「また眠らなかったの?こんなに痩せ細って・・・」
 目を覚ましたサラレギーが、ここ何日か言い続けている言葉を発した。
 繊細な指先がユーリの髪、頬、唇の順で撫でていく。
 そしてそっと細くなったユーリの身体を抱きしめて、これもここ何日かで聞き馴染んだ言葉を紡いだ。

「大丈夫。ユーリのことは私が守ってあげる」

 その言葉をどこか遠くで聞きながら、白濁した意識の片隅で思う。

 頼る者のないこの土地で、一体誰の名を呼べばいい?
 自分は、誰の名も呼んではいけないのだ。
 名付け親の名も、その幼馴染の名も。
 呼んでは、ダメなんだ―――。


「見て、ユーリ!あそこに出口らしき場所が見える!よかったね、ユーリっ」
 強く腕を引かれ、ユーリの足が緩やかなものから早足へと変わる。
 ユーリの視力でもだんだんと前方の光が認識できてきた。
 頬を撫でる風が熱を孕んでいる。
 そう、思ったとき。

「・・・っ」

 まるで自分を焼き尽くそうとするかの如く、強い光がユーリの思考諸共包み込んだ。


 ―+―+―+―


「ベネラ!」
 一人の男が、そう叫んで部屋に駆け込んできた。
 早口に捲くし立てて一心に外の、ある方向を指差している。
 ベネラと呼ばれた老女はその言葉に耳を傾け、しきりに相槌を打っていた。
 そして二言を三言男に答えると、背後を勢いよく振り返る。
「行くよっウェラー卿!」
「!」
 部屋の奥で壁に背を預け、事の成り行きを見守っていたコンラッドは呼びかけにすぐさま動いた。
「見つかったんですか?」
「ああ。そこでいいニュースと悪いニュースがある。いい方はすでに分かったろ。悪い方は聞くかい?」
 どこかで聞き覚えのあるたセリフに眉を顰めつつ、コンラッドは頷いた。
 すでに二人は待機していた部屋を出、外の気に繋がれている馬へと向かっている。
 悪いニュースは、馬を走らせてから漸く発せられた。
「出てきたのは二人。一方はイェルシーと瓜二つの顔を持つ神族。もう一人はフードを深く被っていてよく分からなかったらしい。見つけた奴らが殺さずにはいてくれたが、イェルシーと似ている奴がいるからと捕縛したそうだ。・・・すまないね、悪気があるわけじゃないんだ」
「捕縛・・・」
 鸚鵡返しに呟いて、苦虫を噛み潰したような表情を作った。
 サラレギーが一緒なのだから仕方がない。
 しかし"二人"とはどういうことだ・・・?
 ヨザックはどうしたのだろう。
「もう一人のほうは素性が分からないといいましたが、背格好は神族と同じくらいなのですか?」
「そう言っていたよ。間違いなく坊やだ。オレンジの髪のボディーガードは一体どうしたんだか・・・まぁ、まずは行かないと分からないね。」
 コンラッドも頷き、二人同時に馬の腹を強く蹴った。


 ―――長かった。


 首都を出て3日。
 延々たる砂漠を出来る限りの速さで抜け、その砂漠の最北端にあるオアシスというには少々おこがましい集落に到着して2日。
 その2日間、ヘイゼルが逃亡の際に使った横穴に配した見張りから来る連絡だけを、ただひたすら待ち続けた。
 そして漸く、その知らせが入ったのだ。
 集落についた日に、横穴へは連れて行ってもらったので道は覚えている。
「先に行きます」
「分かった」
 こちらの気持ちを察しているのだろう、ただ是と頷くだけのヘイゼルに目礼し、コンラッドは一気に速度を上げた。


 ―+―+―+―


「まさか出て早々に奴隷たちが待ち構えてるとは思わなかったな」
「・・・・」
 忌々しそうに吐き出し、サラレギーは縛られた腕を動かしている。
 どうやら縄を外そうとしているらしい。
 普段なら「余計に痛めるだからやめろよ」と言うところだが、生憎今のユーリは普段の元気はつらつな野球小僧ではない。
 ただ無感情に目の前を見つめているだけ。
 そんなユーリをサラレギーはゆったりとした微笑を浮かべて見遣った。
 ふと、遠くから馬の蹄の音が響いてきた。
 同時に周りに経つ人物たちも忙しなく動き出す。
「・・・さすがだね。君の為なら何処まででも助けに来るらしい」
「・・・・」
 誰の言葉も届かない。
 全てを拒絶するように、ユーリは瞼を閉じた。
 何もかもが、酷く億劫だった。


 ―――誰かが俺の名前を呼んでいる。


「ユーリ!」
 ひらりと軽やかに馬から飛び降り、コンラッドは縄に縛られたまま微動だにしないユーリの元へ駆け寄った。
「ユーリっよかった、無事だったんですね」
 縄を解き、フードを下ろしたところで動きを止める。
 ユーリの頬に血がついていたのだ。
 ざっと見渡し、ズボンや服の裾もべったりと赤褐色に染まっているのを認める。
「どこか怪我でも・・・」
「ユーリはどこも怪我などしていないよ、ウェラー卿。それよりユーリばかりじゃなくて私の縄も解いてくれないかな?」
 弓形に持ち上げられる唇。
 嫌悪感に眉を顰めつつそれを無視し、コンラッドは視線をユーリの目から逸らさない。
 一向にこっちを見ない瞳。
 何か、嫌な予感に胸が締め付けられる。
「陛下、こちらを見て。」
「・・・・」
「陛下、・・・ユーリ」
 そっと頬を挟み、かさついた血を撫でる。
 もうずっとそこにあったのか、軽く擦っただけでは取れなかった。

 誰の血なのか・・・。

 思い至ったその人物の名に、緩く頭を振る。
 そんなことがあるはずない。
 しかし、それならどうして今ここにいないんだ?
「ユーリ」
 聞けばいい。
 奴はどこなのかと。
 ―――ヨザックはどうしたのか、と。
「ユーリ、ヨザックは・・・」
「っ・・・ぁ・・・」
 見る間にユーリの様子がおかしくなる。
 ガタガタと身体を震わせ、何かから己を守るように両腕を掻き抱いて。
 頬に付いた血に触れ、ユーリの動きが止まる。
「ぁ・・・あっ・・・・・・・・・・やああぁぁぁぁぁっっ!」
 甲高い悲鳴が、辺りに充満する。
 形振り構わず暴れるユーリに、コンラッドはただ何も言えずその身体を抱きこんだ。
「やぁっ・・・おれが・・・っおれのせいで!」
「ユーリ!」
「おれがヨザックを殺したんだっ・・・おれが!!」



 涙を流すことなく、ただ叫ぶその悲痛さ。
 そんな痛ましい姿に、コンラッドのほうが苦しくなった。
 知らずに流れる涙は、ユーリの代わり。
 泣けない彼の変わりに、自分が流してあげる。









「あの護衛の人は、地下迷路で突如現れた石の球体から私たちを守るため、遮断装置を動かすのに犠牲になったんだ。」
 遮断した石壁の割れ目から、それは大量の血がこちら側まで流れてきてね。
 まるで人事のように語るサラレギーを、コンラッドは無言で睨みつけた。
 いや、結局は人事だ。
「彼はお前を守ったんじゃない、ユーリを守ったんだ」
「結果としては私も守った。同じことだよ」
「違うっ!一緒にするな!!」
 だんっ!と壁が割れそうなほど、強い音が響く。


 殴ってやりたい。


 こんな奴のせいで、ユーリが、ヨザックがこんな目に合わせられたのかと思うと憎くてたまらなかった。
 コンラッドは震える拳をもう片方の空いている手で必死に押さえ込む。
 こいつを殴ったところで何も変わりはしない。
 何も、戻ってはこないのだ。
「・・・暫くはここで大人しくしているんだな」
 それだけを言い残し、あとは振り返ることもなくその場を去った。
 その足で、ユーリのいる部屋へと向かう。
 そっと覗いたその部屋にある、唯一つのベッドの上でユーリは昏々と眠り続けていた。
 気絶、と言ってもいいのかもしれない。
 一通り叫んだ後、ふ・・・と意識をとぎらせそのまま意識を失った。
 抱きしめた身体は、自分が覚えているころよりも格段に細くて。
「俺が・・・俺がついていながら・・・っ」
 低く呻いて握り締めたままの拳を己の額に宛がった。
「・・・っ」
「っ・・・ユーリ」
 微かな吐息に混ざってユーリの呻きが聞こえた。
 近寄ってその手を握り締める。
 きつく寄せられた眉間、震える瞼が彼の覚醒を示していた。
「ユーリ・・・」
「・・・コ・・・ン・・・?」
 薄っすらと持ち上げられた瞼の奥から、漆黒の瞳が現れる。
 小さく呼ぶ声にほっと緊張感を解いた。
 血の拭われた頬を撫でて、安心を与えてやる。
 もう怖くないから、と。
「もう少し、寝ててもいいですよ?まだ起きるには早いから」
「・・・・」
 何度も何度も、髪や頬を撫でて。
 それでも、最初の一声以外ユーリは言葉を発しなくなった。
 焦点も、自分に合わさることはない。


 閉ざされた心は、どうやったら戻るのだろう。
 彼が望むのは、一つだけ。
 たった一人の、帰還だけ。
「生きているんだろう・・・?」
 ヨザック・・・。
 内なる願いは、二人とも同じ。
 だから、早く戻って来いと。
 コンラッドは祈るように瞼を下ろした。







 すみません;
 どうにも我慢できなくて書いてしまいました・・・(ぐすん)
 だってっヨザ・・・ヨザがぁ〜っ!!
 しかもゆーちゃん目が見えないし・・・っ
 次男はゆーちゃんのために奔走してるしっっ
 こんな終わりかたってありですか〜喬林先生・・・。
 早く次の巻が出ることを切に願います!!