| 温もりの果てに
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横たえられた体に、コンラッドはゆっくりと覆い被さる。 未だ濡れた目尻を親指の腹で拭い、そのまま頬を撫でてその人の体温を感じ取る。 「・・・本当に、いいの?」 「・・・・・・いい」 「無理はしないで。・・・俺はただ、あなたの傍に居られればそれでいいんです。あなたが俺の気持ちを受け入れてくれれば、それで・・・」 腕の中に居るユーリの額に口付けを落とし、ふわりと微笑む。 すると、シーツの上に投げ出された手がゆっくりと持ち上がり、コンラッドの頬に触れた。 「・・・おれが、嫌なんだ・・・。もうこれ以上あんたを疑いたくない。あんたを、信じ切れなくなる自分が嫌だ・・・。既成事実でもいい、あんたが本当におれを想ってくれるなら・・・抱いて欲しい。コンラッドと、一つになりたい・・・っ」 「ユーリ・・・」 再び溢れてくる涙に苦笑を浮かべ、シーツに吸い込まれていく涙に唇を押し当てる。 塩辛い味が口内に満ちて、一瞬後には跡形もなく消えた。 僅かに顔を離し、濡れた黒曜石を見つめて再び近づける。 「ん・・・っ」 啄ばむような口付けにユーリが甘く啼いた。 熟れた唇にそうして数回繰り返し、薄っすらと開かれたのを確認してそろりと舌を忍び込ませる。 「ふ・・・」 奥に縮こまっているユーリの舌を優しく己の舌で擽ると、ゆっくり絡み付いてきた。 怯えさせないように数回撫で、慣れた頃にちゅくっと強く吸う。 「んんっ」 びくんっと体を震わせたユーリは、縋るようにコンラッドの腕にしがみ付いてきた。 宥めるように髪を撫で、口付けたときのようにそっと、刺激しないように唇を離す。 幾分息の上がったユーリは暫く呼吸を整えるように胸を上下させていたが、落ち着いてくると瞼を持ち上げてふわりと笑みを見せた。 「コンラッド・・・」 しがみ付いていた手を解き、僅かでも離れたコンラッドを引き戻すかのように頬へ手を添えると再度キスを強請る。 今度は啄ばむような優しいものではなく、互いに貪るように相手の咥内を蹂躙し、もっと、と舌を絡み合わせた。 「んぅ、・・・ふぁ、んっ」 「ユーリ・・・っ」 もどかしげに服の上からユーリの胸を這い回っていた手が、裾をたくし上げて直に肌へ触れてくる。 脇腹から胸へと撫上げ、ひっそりと存在を主張する真っ赤な飾りに指を絡ませると捏ねる様に撫で付けて。 「んぁっ?!」 思わぬ刺激にか、ビクビクと体を震わせたユーリはまん丸に目を見開きコンラッドを見上げた。 その瞳に目を眇めてみせ。 体の位置をずらし、ユーリの胸へ顔を近づけるとその小さな飾りに唇を寄せる。 「ひぁっや、やぁっコンラ・・・っ」 「大丈夫、気持ちいいでしょう?」 しつこくそこだけを攻め立てると、いやいやと首を振ったユーリの手がコンラッドを引き離そうと髪を引っ張った。 しかし力は篭らずただ絡みつくだけ。 コンラッドはその手を取り、口元に引き寄せると綺麗に整った指の一本を咥内に含む。 「ぁ、んやっ・・・」 「指にも性感帯が通ってるから、舐められるだけでも感じるんだよ。」 一本一本丁寧に舐めていき、余すことなく唾液で濡らしていく。 余っている手で未だ胸の飾りを捏ね回していると、掴まれていない方の彼の手が下肢へと伸ばされた。 「ん・・・、あっ」 「ダメだよ」 ユーリが触れる前にコンラッドの大きな掌がユーリの欲心を包み込んだ。 すでに形を変えているそれに布の上から指を絡め、数回扱くとユーリの腰が淫らに揺れる。 「コ、ンラ・・・、 っ」 「脱がせるよ?」 訊ねれば、小さく頷き腰を浮かせた。 コンラッドは部屋着用のズボンをするりと脱がせ、ベッド下へ落とす。 「あぁ、もうこんなになってる」 「言う・・・な・・・ぁんっ」 布面積が狭すぎてユーリの欲望の先端を覗かせているヒモパン。 ひょっこりと顔を覗かせているそこに指をくっつけると、ぬちゃりとした粘液が糸を引く。 そのまま先端を、粘液を塗り延ばすように撫で付ける。 「ぁっ、んんっ」 ふるりと震えた欲心は、その刺激だけで気持ち良さそうに雫を零し。 とろりと溢れて新たな染みをヒモパンに付けていった。 「も・・・苦し・・・っ」 「ごめん、今出してあげるからね」 濡れた瞳で必死に訴える様に苦笑を零し、コンラッドはユーリの腰に掛かる結び目に手をかけた。 しゅるりと衣擦れの音がして、片側がするりと解ける。 もう片方も同じように外すとあっけなくユーリの真っ赤に熟れた欲心が姿を現した。 「辛そうだね・・・。一度先にイっておこうか」 「んぁ・・・っコ、コンラ・・・ド・・・っ」 空を泳ぐ手に導かれるまま、ユーリの顔を覗き込むように上体を起こし、ちゅっと唇にキスを落とす。 すぐに下へと下がると、屹立した欲心を手に取り咥内へと導き。 「なっ?!や、コンラっ汚いから・・・!」 「どうして?ユーリは何処も汚くなんてないよ。ほらここも・・・」 「ひあぁっ」 欲心の先端、最もユーリの弱いところを尖らせた舌先で抉るように擦ると、ユーリの体が強い痙攣を起こした。 そのまま一回目の吐精を果たす。 咥内に出されたそれを戸惑いもなく嚥下したコンラッドは、口の端に零れたそれさえも勿体無いと言うように下で舐め取った。 その様が妖美で、思わずユーリは目を奪われる。 「ご馳走様。・・・大丈夫?」 どこか陶酔に似た眼差しで自分を見つめるユーリに、コンラッドは眉根を寄せて訊ねた。 そのまま暫く呆然としていたユーリは、突然ハッとしたように目を見開き・・・一瞬にして顔を真っ赤に染め上げる。 「コ、コンラッド・・・あんた・・・っ!」 「ん?」 「お、おれのっの、飲んだ?!」 「あぁ、うん。」 金魚が酸欠したようにパクパクと口を開閉しているユーリに笑みを浮かべ、さらりと頷く。 すると彼は、お椀の形に作った手をコンラッドの眼前に差し出して。 「吐け!お腹壊すからっ早く吐いちまえって!」 「ユーリ、落ち着いて。大丈夫、お腹は壊しませんから」 「わかんないだろ?!実際飲んだことないしっ・・・・・・・・・ぁっ、もしかして・・・」 真っ赤に染まっていた表情が一瞬にして色を失くす様に、慌てたのはコンラッドだった。 「ありませんっユーリが初めてですよ!」 「え・・・?」 「確かに、女性と体の関係を持ったことはありますが・・・男とはあなたが初めてです。」 「そ・・・か、そうだよな・・・。あんたが初めてって方が、ある意味驚きだもんな・・・」 別の意味で意気消沈してしまったユーリに困惑し、コンラッドはその白い頬をそうっと包み込み引き寄せる。 「出来ることなら、過去の経験を白紙に戻せたらいいんだけれど・・・・・・。ごめん、ユーリ」 「んや、それは仕方ないよ・・・。だって、おれとあんたとは差がある。年齢も、経験も。」 ほわりと笑みを浮かべたユーリは、頬に宛がわれているコンラッドの手に更に己の頬をすり寄せた。 「な、コンラッド。・・・続き、して?」 「ユーリ、」 「おれは過去のあんたを好きになったわけじゃない、今のあんたを好きになったんだ。だから・・・経験とか、過去の相手とか、気にならないって言ったら嘘になるけど・・・でもおれは、今のあんたに全てを抱きしめて欲しい。今のあんたを抱きしめたいんだよ、コンラッド」 頬に触れる温もりに酔いしれていたユーリは、いつの間にか下ろしていた瞼を持ち上げ鮮やかな笑みをコンラッドに見せる。 その笑みに、先まであった凍えるような蝋人形の影はない。 眩いばかりの太陽を思わせる笑顔が、一筋の光のようにコンラッドの心を暖めた。 「・・・ばかだなぁ、そんな顔すんなってば。」 「ありがとう、ユーリ・・・っ」 くちゅ、くち、と卑猥な水音が室内に響く。 「はっ、ぁ・・・ふひっ」 「ユーリ、力抜いて・・・」 「あ・・・っ、やぁっ・・・・・・ひっ!」 「っ・・・」 ぎちりと嫌な音が耳に木霊す。 つと、錆びた鉄の匂いが鼻についた。 「コ・・・ラ・・・っ痛、ぁ・・・っん」 「ユーリ・・・っ息を、深呼吸するんだ。俺に合わせて」 苦しげに歪められる眉根に口付け、唇で瞼に触れる。 ゆるりと僅かに上げた瞼の向こう、潤んだ漆黒の瞳にふわりと笑みを浮かべ。 額をすり寄せ呼吸を合わせる。 と、同時に痛みで萎えたユーリの欲心に指を絡め、弱い場所を執拗に擦り上げるときつく閉じる秘部がざわりと蠢いた。 「く・・・っ」 「はっひ・・・、っあぁぁ―――!」 力の抜けた間際を見極め、コンラッドは一気に腰を圧(お)し進めた。 一番太い亀頭を飲み込めば、あとはすんなりユーリの奥深くへと我が身を沈められる。 「・・・ユーリ、解る?」 「ん・・・ぅ・・・っ、わ、かる・・・コンラ・・・ド、のっ、熱・・・ぁっ」 「ユーリの中もとても暖かい・・・」 深く深く、奥まで包み込んで。 何もかもが溶け、交じり合い、融合して。 一つに。 心も、体も、全てを一つに。 「・・・大丈夫?」 「ん・・・へーき・・・」 腰に回された暖かく大きな腕に引き寄せられるまま、隣に横たわる温もりに擦り寄る。 コンラッドの心音が鼓膜を震わせ、安心感を与えてくれた。 「あったかい・・・」 「ごめん、無理をさせてしまったね・・・」 宥めるように背を撫でて、額に唇を押し当てる。 擽ったそうに身を竦ませたユーリは、鈴のような笑い声を立てた。 すっぽりと収まる小さな体に、コンラッドは目を細めて更に懐深くへ包み込む。 「今日はもうお休み。明日は一日お休みを貰おう?久しぶりに城下へ下りて買い物でもしようか。」 「んゃ・・・・・・キャッチボール・・・しよ・・・?みんなで、前みたいに・・・・・・」 その後の言葉は穏やかな寝息にすり替わり聞くことが出来なかった。 すぴすぴと寝息に耳を傾け、コンラッドは蕩けるような笑みを浮かべて。 「おやすみ、ユーリ。健やかな眠りがあなたに訪れますように・・・。」 差し込む月光に照らされた漆黒の髪をそぅっと撫で明日の予定を胸中で思い描きながら、コンラッドはゆっくりと瞼を下ろした。 |