WEB CLAP 9  ボイスクロック Ver.6



 扉を開けて、すでに起き上がっている少年に笑みを浮かべる。
 おはようございます、と声をかけ、それに反応が返ってこないことに訝しく思った。
「ユーリ?」
「・・・ぁ、コンラッド・・・」
「お目覚めですか?・・・どうしました?ぼーっとして。何か嫌な夢でも見た・・・?」
 コンラッドは未だ焦点の合わない視線を不安に思い、そっとユーリの頬に触れる。
 首が、小さく傾げられた。
「・・・・・・ここ、眞魔国?」
「?――ええ、ここは眞魔国ですよ?」
「・・・はぁ〜、何だよもー・・・。せっかく今から試合で「よしっぜってー勝つぞーっ!!」って、盛り上がってたところだったのにー・・・」
 いきなり気が抜けたかのように盛大な溜息をつき、ぐたりとベッドの上に崩れたユーリをコンラッドはぽかんと見下ろした。
「・・・今から試合だった?・・・っあははは!」
 思わずコンラッドは噴出し、「笑うなー・・・」とユーリに怒られてしまった。
 一通り笑い、漸く収まった頃に宥めるようにコンラッドはユーリの髪に手を差し込む。
 そうしてゆるりと梳き撫でると。
「でもそんなにがっかりなさらず、みんなが広間で待ってますよ。それに・・・」
「?」
 髪を撫でていた手が首元に滑り落ち、耳の付け根の下辺りをトン、と撫でられる。
「俺は、今ここにあなたがいることがとても嬉しい。――ユーリは?」
 自分を見上げてくる漆黒の瞳に、コンラッドは目を眇めてほわりと微笑んだ。
 その目が、自分と同じように細められ。


「おれも、あんたの傍にいられることが嬉しいよ」


 そうしてどちらともなく額をくっつけて。
 甘い口付けをゆっくりと交わした。