WEB CLAP 5  ボイスクロック Ver.2



 見回りのせいで遅くなった、と内心で焦りつつ、コンラッドは通い慣れた廊下を足早に横切る。
 見えてきた扉に歩調を緩め、起きているだろうと思いつつも少々控えめに2度、ノックした。

「失礼します。・・・あれ?」

 部屋の中を見渡し、思い描いていた人物の姿が無くて首を傾げる。
 ベッドに目を向ければ、そこには二つの塊。
 コンラッドは目を細め、静かにベッドへと近付いた。

「ユーリ。・・・陛下?まだ起きてなかったんですか?」
「んぅ〜・・・へーか、言うなぁー・・・」

 機嫌の良かった寝顔が、一瞬にして不機嫌な表情へとすり替わる。
 そんなユーリに苦笑を浮かべ、弟と恋人の間に左手を置いて、ユーリに覆い被さった。
 ユーリの瞳は、未だ閉ざされたまま。
 そんなユーリの耳元に、コンラッドは低く囁きを落とす。



「・・・・・・しょうがないな。起きないなら、そのまま抱いていきますよ」



 ぱくん。
 耳殻を食み、穴の中に舌を差し入れて。

「んっ・・・ぁ・・・」

 ピクンッと揺れた肩と、漏れる甘い吐息に満足気な笑みを浮かべる。

「ねぇ、いいの?」

 右手で体を支え、空いた左手を下へと持っていく。

「んぁ・・・」

 服の上から体のラインを辿り、腹部を撫でて、二本の足の間にある"ソレ"に到達すると、コンラッドはきゅッ、と握り込んだ。

「ひぁっ?!」
「おはよう、ユーリ」

 強い刺激にビクビクッと体を痙攣させ、それによって漸く目覚めたコイビトに微笑む。

「なっ・・・え?何・・・コ、コココココンラッド?!」
「ん?」

 「何?」と言うように可愛らしく首を傾げるコンラッドに、ユーリは自分では直視できない場所を指差して。

「何してッ・・・ってか降りろ!離れろっ!!朝っぱらから何してんだ、あんたはっ?!」
「何・・・って、ユーリが起きないから起こそうと。」
「起こし方を間違ってるっての!!」
「問題点はそこなのかな・・・」
「あんたに言われたくなーいっっ!!」

 ジタバタと腕を振り回し、コンラッドの体を自分から離そうとするもやはりそこは体格差。
 ビクともしないコンラッドは、満面の笑みを浮かべたまま再び圧し掛かってきた。

「お、起きるっヴォルフラムが起きるってば・・・っっ」
「大丈夫、こんなことくらいで起きるような奴じゃ、」
「むぅ〜・・・なんなのりゃ、うるしゃいにゃぁ・・・ん?」
「!!」

 上半身を起こし寝惚け眼を擦るヴォルフラムに対して、氷固まるユーリと、おや?と目を僅かに見開かせたコンラッド。
 現状把握に数分・・・いや、実際には数秒しか経っていないのかもしれないが、それを認識した途端ヴォルフラムはわなわなと肩を震わせたかと思うと頬を紅潮させて。

「コ」
「コ?」
「コ・・・コ・・・」
「そうなんだよっこいつ!こいつが全ての元凶・・・」
「コンの尻軽へなちょこ浮気者ーっっ!!」

「「結局そこなのね・・・」」

 響いた声にユーリは項垂れ、コンラッドは苦笑を浮かべた。
 そしてユーリ宜しくトルコ行進曲を始めたヴォルフラムに、やれやれとコンラッドはアメリカンナイズな仕草を見せて。

「ヴォルフラム、コレは夢だ。だからもう少し寝たほうがいい」

 そう言って、コンラッドはにんまりと口角を持ち上げるとユーリの唇にキスをした。

「〜〜〜〜っ!!」

 されたユーリは、茹蛸宜しく真っ赤に顔を染め。
 逆にヴォルフラムは真っ白と化した。

「あ、ヴォ、ヴォルフ?わぁ〜っ砂!砂になってるって!!」
「おやおや、我が弟ながら随分と純情に育ったな。」
「そんな暢気な事言ってる場合かよっ!ヴォルフーっっ」
「はいはい、ほっておいても時間が経てば元に戻ってるよ。さて、では行きましょうか?ユーリ」
「へ?何?何処へ・・・って、ちょっと待てっ!!何でお姫様抱っこ?!」

 ヒョイと抱きかかえられたユーリは、わたわたとコンラッドの首にしがみ付いた。
 もちろん、それはあくまで落ちないようにするためで、好き好んでこの体勢を受け入れたわけではない。

「さっき言ったでしょう?『起きないなら、そのまま抱いていきますよ』ってね」
「き、聞いてないっキイテナイ!!」
「そりゃぁ、あなた起きてなかったから。」
「だったら無効だろ?!」
「ダメ」

 にっこりと笑みを浮かべたまま残酷なほどきっぱりと言い切って。
 コンラッドは嬉々として部屋を後にした。